「相生座」は、二つの芝居小屋を合体復元したものです。
ひとつは、1894(明治27)年に益田郡下呂町宮地の一村が、総力を結集して建設を初め、翌年の明治28年に完成した相生座。もうひとつは、明治初期まで名古屋の大曽根にあった芝居小屋を旧恵那郡明智町に移築した、常盤座です。
相生座の本体部分を移築し、常盤座の舞台材料と機構を組み込んで、1976(昭和51)年に新生「相生座」として生まれ変わりました。
これに先がけ、昭和46年に衣裳の寄託を受け、それを期に「美濃歌舞伎保存会」が発足。昭和47年以来、毎年欠かさず公演を行っています。
往時の農村舞台の姿をよくとどめており、こけら落としでは、市川猿之助(現猿翁)による蝋燭芝居が上演されました。
また、中村勘三郎や、吉田蓑助による公演等も行われ、広く愛されています。多くの方に、小屋の持つ独特な雰囲気を味わっていただき、収蔵品を見ていただくために、「相生座」を美濃歌舞伎博物館と致しました。
現在では、江戸時代末期より明治、大正、昭和の4時代に至る農村歌舞伎の衣裳、かつら、小道具類約4,000点を収蔵しており、それらの一部を展示しています。
また、毎年9月の最終土曜日に行われる長月公演と、その前日に地元のお年寄りを対象に行われる敬老公演でも、これらの衣裳や小道具が使用されています。まさに生きた博物館なのです。